4月2013

蒼く透明なweb

51BYRAWETJL._SS500_
グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA): 飛 浩隆

大橋さんの新作がこちらの小説をダンス作品化するということで読み始めました。
先日、「Books,Phantoms」の写真展最終日のイベントに行ってきたのですが(ちゃっかり写真戴いてきちゃいました。ありがとうございました)、その時久しぶりに大橋さんとお話ししまして。
初めてお会いしたお店になかなか行く事が出来なかったためプライベートでお話することもなく(なんかプライベートって書くとアレね、オフの方がいいのかしら)イベント時もお忙しそうなのでご挨拶だけして帰っていまして。
Books,Phantomsを初めて観た時からずっと感じていた「何かいる」という感覚があって、でもそれがなんだかよくわからなくて、という話をしたのですが、
「わからなくていいんです、その時に感じた何かを持ち帰っていただければいいんです」と仰っていました。
わたしがあの空間で見つけた「何か」は大橋さんが演出されたもののようで、それを素直に受け止めていたわたしと、「何か」が「何なのか」と煩悶するわたしはちゃんと向かい合っていたんだなぁと思いながら帰りました。

グラン・ヴァカンスはSFというカテゴライズなのですが、どうも詩的で不思議な感覚です。
行ったことないけど、ウユニ湖のようなイメージがします。
本の紹介を読んでいただくとその印象とまったく違うように見えますけど、とても繊細でキラキラと輝く「web」が非常に美しい文章です。こういう美しい文章を紡ぐひとってどんな人なんだろうという、作者自身への興味も湧くくらい。
結構描写がえぐかったりするところもあるのですが、そういう描写すらも淡くパッと空に霧散してしまうようで、さわやか…ではないな、うーん…透明な悲しみ、ってなんかの歌詞だったかしら。そんな感覚に包まれます。種田山頭火の句を彷彿とするような。「分け入っても分け入っても青い山」とか「まっすぐな道でさみしい」とか。つか、山頭火しか知らんのかよあたしというくらい引用多いな最近。

なんか体調が芳しくなく、食欲というか食事の絶対量がずいぶん減りました。
ちょっとしんどいかも。

ヲカヱツ的三都物語 3日目

翌日は二日酔いにもならずちゃきちゃきと準備。

明け方にはもう動けるよーって感じだったんだけど、この日のメイン「松尾大社ご神山登頂」についてちと不安があったので調べてみたり。というのも、前の晩結構雨が降っていたので、あまり勾配のきつい山だったりするとあがれないんじゃないかと思って。あと筋肉痛も結構出てきていたのもあり。で、調べていて思わず「え」と言ってしまったのが(ソースは個人ブログなので引用しませんが)、

「1人での登頂禁止」

なして??
えええええ????…だめじゃん…。
いきなり出鼻を挫かれる。こういう事もあるんだなーと思い、他にじゃあどこへ行こうかと色々検索していて、「日本の鬼の交流博物館」なるものを発見してうわー行ってみたい!と思ったけど京都から2時間じゃあちと帰りの新幹線を考えるとちと難しいなぁと思って却下。今度大江山には別途行こうと決意。鬼の文化というか、「鬼」というあやふやな存在についてはまた改めて書くとして(わたしのいう「鬼」って多分概念の話ね。「隠(オン)」から来ているとか言われる「客人(マレヒト)神」とかそっちの方面で、鬼というよりも「(集落の)部外者の扱いの傾向」なのかなーと思っていて)じゃあどこへ行こうかと京都の地図を見ていてふと「そういや伏見稲荷の千本鳥居って見てないな」というのを思い出して行ってみることに。

確か大人になってからの京都で初めて行ったのが伏見稲荷じゃなかったかしら。
その時は本殿前で泣き崩れる女性とその背中をさする女性(おそらくお母さんじゃないかと)の横で祝詞をあげる人がいて、「あぁここはそういう場所だったんだなー」と実感した時になにやら背筋を駆け上がるものがあって早々に退散してしまって。という事情があったため、あの画面が鳥居の朱で真っ赤になる写真は撮ってなかったのが残念だったというのを思い出しました。
京都から新幹線で帰るため京都駅へ荷物を置き(酒瓶と図録も)奈良線に乗り換え稲荷へ。
ああそっか今日は日曜日か。というのを今更気付かされるような人出でした。人気なんですね、伏見稲荷。

Evernote Camera Roll 20130428 095947

境内に入ったら、なるほどお祭りの準備しているではないですか。
それでこの人出だったのね。そうか。
という脇をするっと抜けてさくさくと千本鳥居へ。
うわぁ、視界が朱になった!というくらいの鳥居でした。ホント圧巻だねぇ、こりゃ。人がいなくなる隙を狙って写真撮りたかったんだけど、ちとそういうタイミングに恵まれず写りこんでしまうのが残念だったけど、まぁ日曜だししょーがないか、という。
でもって熊鷹社を過ぎた辺りからじょじょに脚に異変が。
というのも、結構既に筋肉痛が出ている状態だったのですが、それを圧して上がり始めたのがもしかしたら失敗だったようで。左膝裏が攣るというか痛み始めまして。やっぱりきたか。
以前富士山に登った時にも出たあの痛みをまた再現してしまったらしかったでした。くだる足運びで痛むので、上がるのにはなんの問題もないのですが、階段が降りられなくなってしまうのは、このまま上るのは問題なくても帰りは「あがる疲れ+膝の痛み」になるのでこれもまたむり!!と思って四つ辻の辺りで断念し痛む膝を庇いつつ、痛みと悔しさで半泣きになりながら降りていったのでした。

で、京都駅へ戻りいつもの三十三間堂へ行って(なんでだかわからんのですがこの三十三間堂はどうしてもはずせなくて。千体の千体千手観音立像になにやら所縁みたいなものを感じるのですがなんででしょうね。以前仏師だったのかな、とか)大好きなうぐいす張りのひよひよを聴こうと思ったらものすごい人で通路全体に人がいるためひよひよ鳴らず。あーなんなの今日!だめじゃん!なんかうまくいかない!!と思って半ふてくされで祇園へ行ってお買い物することに。
用事を済ませて、さてどうしようかと思って八坂神社の方へ向って歩いていたところでふと目に留まった1軒のお店。

Evernote Camera Roll 20130428 100001

白塗りの壁が眩しくてなんだろうと思ったのですが、その奥にある目を見張るような色彩の絵が瞬時に飛び込んできました。思わず「うわ」と声に出してしまうほどのインパクトのある襖絵がありました。
吸い込まれるように店内に入ると、その極彩色は更に深く、大量の図柄と色を蓄えてありました。
眩暈を起こすほどの一目惚れってそうそうないのですがこの店内にある絵については本当に眩暈起こしそうなほどで、その存在感に飲み込まれてしまうようでした。
というその絵師さんはこの方。

木村英輝(キーヤン)
http://www.ki-yan.com/

shopの方に一目惚れしましたと告白し「ポイントカードおつくりしますか?」と聞かれて「東京からなので滅多に来られないけれど是非作ってください♡」と作ってもらって、その足で店員さんに教えてもらって非売品のチケットまで戴いた展示会へ行ってみることに。
創業百二十年記念 龍村平蔵 “時” を織る。
(終了したイベントなので公式には存在しないようで)
こちらにあわせて正面ウィンドウに襖絵が展示してありました。

Evernote Camera Roll 20130428 100017

あああああああすっごいかっこいい。こんな襖があって廊下はうぐいす張りのおうちに住みたい。ホント素晴らしい。
めちゃくちゃかっちょえぇよう。涙出ちゃうよう。
と、半泣きになりながらも展示見て(正直織物にはあまり興味がなかったのでさらっと)ぼんやり京都駅まで歩くことに。
途中キーヤン氏のバスや絵を見つけて「うきゃー」と写真撮ったりしながらのんびり歩きました。

Evernote Camera Roll 20130428 100006 Evernote Camera Roll 20130428 100012

最後に京都駅でなんとなく恒例となってしまった「一番上のお店でビール1杯」を今回もやって(カウンターだったし店内混み混みで本当に1杯だけで帰った)「ぷらっとこだま」で4時間近くかけて帰路についたのでした。
やたら長くなってしまいましたが、今回ほど充実した旅行も珍しいのではないかしら。
出会えた花、人、場所、本当に感謝。
たくさんいい思い出ができました。

ヲカヱツ的三都物語 2日目

案の定二日酔いで、本当は8時にはチェックアウトしてしまおうと思っていたのに結局ギリギリまでだらだらしてしまい。

とりあえず荷物が多いので、次の宿泊先(2泊も高級老舗ホテルなんざ泊まれません(笑))へ酒瓶やら着替えやらを置いてからさてとりあえず大阪駅へ行ってから色々悩むかと駅に向かいました。この日はまる一日郡山辺りをうろついて「鳥見」にかかわる諸々を探そうと思っていたのですが、なんせ二日酔いなんで歩くのが面倒だったりして。もし時間がなくてもここだけは行こうと思っていた2箇所の神社に行って、あとはホテルでだらけるかなーとかやる気ないことを考えていたときに、ふと駅構内の柱のデジタルサイネージに目が留まりました。
「よ、妖怪…?」
思わず立ち止まりその広告が再現するまで待ち(笑)よく見てみると。

幽霊・妖怪画大全集
http://www.mus-his.city.osaka.jp/news/2013/yureiyokai.html

こんな素晴らしい展示が開催されていました。いましたというか、今日から開催でした。
なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁ!
さっそく大阪歴史博物館をぐぐって場所を確認し、まだあまり馴染みのない地下鉄を乗り継ぎ大阪歴史博物館へ。
入場料を払って早速中へ。

ずいぶん前にもこういった妖怪の図録の展示会(あと人魚のミイラとか河童の手とかもあった)を見たことがあって、それと主旨はほぼ一緒だったんだけど、幽霊画が壮観だったり(みんな左側を向いて口半開き、鉄漿(おはぐろ)なのねー)百鬼夜行図が山盛りあったり(久々にハの字息(ガラスに近づき過ぎて鼻息がハの字にむはーっ!とついてしまうのを勝手にこう呼んでる)つけたりメガネぶつけたりするほどガン見した)してホント楽しかった。あやかし大好き!憑喪神とかチョーかわゆす!と思いっきり満面の笑みでニヨニヨニヨニヨしながら妖怪大行進を眺めていたのでホント怪しかっただろうなーと思うけど好きなんだもん。

という興奮冷めやらぬ状態で、これは図録必須だろうと重たかったけど購入、毎度のクリアファイルも買ってほくほくしながら会場を後にしました。
大阪歴史博物館を出たのが昼過ぎだったので、今晩の予定まではまだ充分時間があるため、ちょっと迷ったけどもう酒も抜けたようだったので本来の目的地郡山へ向かうことにしました。

で、郡山なんですけど。
つい最近まで大阪と梅田の関係がよくわかっていなかったように、JRと私鉄の関係がわかっていなかったわたしはずっと郡山って言ったら郡山でしかないと思っていました。ので、乗り換え案内もずっと「郡山」で検索してたんですが、その目的地は「近鉄郡山駅」からバス、だったなんて知らなかったんです。
ちょっと誰か言ってよ!
というか前の晩に「こっちの人はあんまりJR使わない」というような話を聞いていたような…とか思いつつ降り立ったのは「郡山」駅。
そこから近鉄郡山駅まで15分くらい歩き、最寄まで行くバスの時刻表を見たら30分以上来ないようでした。
現在地からその目的地までのルートを検索するとおおよそ3km。30分あれば着く距離だったので、ただぼんやり待つよりはせっかく初めて来た地をじっくり愉しもうと思い歩くことにしました。
目的地は、登弥神社(とみじんじゃ)。物部氏の祖神・饒速日命(ニギハヤヒのミコト)を祀る神社です。
昨日は葛城氏、今日は物部氏、手のひら返しまくりです。
で、なぜわざわざ石上神宮でなくこの登弥神社かというと、「トミ」にどうもひっかかりまして。おそらく結構この地名あるのではないかと思いますが、わたしが一時期あしげく通った千葉県白井市の星神社がうようよある地域にも「鳥見神社」という神社があります。そこに何かひっかかりまして。
たったこれだけの符合が現実に何か結ぶ糸の役割を担っているのか探しようがなかったのですが、元々この地域は古くから豪族が居た地なので何かしら関連はなくとも行けばそれなりに楽しい(?)かもしれないと思ったのが発端でした。
(本当は生駒の巨石信仰の辺りをトレッキングがてら巡ろうかとも思っていたんだけど、運動不足のこのわたしが3日間毎日トレッキングできるわけがないと踏んでこの登弥神社とあともう一箇所、矢田坐久志玉比古神社を見て来ようと思ったのでした)

Evernote Camera Roll 20130428 095913

境内は結構広くいい雰囲気の神社でした。
静かで落ち着くところです。

ここから更に東南へまた3kmほど歩いたところにある神社はこちら。

Evernote Camera Roll 20130428 095919

ここで予報通り雨が。
途中で買った折畳み傘を出して駅へ向かいます。
ひたすら県道をまっすぐ歩いていけば駅に着くので地図を見ていたiPadminiを仕舞って時折強くなる風にかばんを避けながら歩きました。
周りは畑。この時期は何も植えない時期なのでしょうか、耕した跡だけがあって、表面は乾いていました。そこを歩く茶色い鳥。聴き慣れない鳴き声。スズメじゃないこの鳥はなんなんだろう。思わず立ち止まって畑をぼんやり見つめました。
ヒバリはこんなところに居ないだろうし。畑は何を植えるんだろう。電線にはツバメがちちちと鳴いていて、雨がふわっと風に乗って。
おそらく、何気ないという以上に何もない…訴えるものが何もない光景について、ここにあるものの名前を知らないことに愕然としました。ここに住む人たちにとって当たり前の光景が、わたしにはもちろん初めてで更に知らないものだらけで。こんなほんのちいさなことにも思わず「自分の世界の狭さ」を痛感してしまい、知らないものの多さや自分の小ささ、鳥の鳴き声に胸が痛んでしまって思わず涙がこぼれたのでした。これは感動なのでしょうか?いったい自分でもよくわからずただ畑を見つめて道端でぽろぽろ涙をこぼす40女(厳密にいうとまだ39ですが)って怖いと頭の片隅で認識しつつも、こうやって打ち震えるものがある心地よさも味わっていて。
ネットやテレビ、本などで得た知識では本当に体感できないものがここに在ってその存在を知ることができる喜びというものだったのかもしれません、今思うと。
それがなぜ何も植わっていない畑の見知らぬ小さな茶色い鳥だったのかもわからないのですが。

駅まで戻りガクガクになってしまった脚をなでながら大阪へ戻り。
今日もまたお昼を食べそこねてしまった状態で、「大阪行ったらまた来たい」とずっと思ってたお店へ。
わたしあの中華街の赤いチャーシューが好きなんです。ちとスパイシーな、うっすら甘いやつ。
東京でも食べられるんですけど、焼き鳥屋さんで出るところは多分ほとんどないよねきっと(笑)というわけで好きなものがたくさん出てくる嬉しいお店「鶏ざ」へ。
ここでは会いたかった友達に時間作ってもらって、みんなで騒ぎました。
たくさん呑んで食べて喋って笑って、楽しかった。
みんなありがとう。会えてよかった。

Evernote Camera Roll 20130428 095938

ヲカヱツ的三都物語 1日目

金曜日に有給を戴いて、木曜夜に夜行バスにて出発、大阪・奈良・京都を3日間で堪能してきました。
夜行バスは23時前に東京駅付近から出発、翌朝7時頃に奈良到着予定でした。
が、
愛知県辺り(詳しい場所は不明)でバスの動く気配がないことでふと目が覚めました。
どうやら渋滞している模様。時計は3時半。なんでこんな時間にこんなに動かなくなるほどの渋滞??と思っていたら、明け方になって着いたSAで運転手さんが「急遽行われた工事により渋滞が発生し…」きゅうきょ???って??
もしかしたら道路(かトンネル)に何か異常が発見されたんでしょうね。それなら事故が起きる前でよかった…。
にしても結局2時間も遅れてしまい、奈良到着は9時を回っておりました。
普段使う「1Day奈良」で東京→京都始発新幹線だと8:10には京都に着くので、奈良着はだいたい9時くらい。
これなら別に夜行で来なくても良かったじゃん、と思いつつJR桜井線で毎年恒例の三輪山へ。
Evernote Camera Roll 20130428 095813
去年は時期が合わず見られなかったギンリョウソウですが、今年もいつも見ていた場所には咲いておらず。
あーあ、今年もだめかぁと思っていたら、わたしがぼんやりしているのを不審そうに見ていた清掃のおじさんがいまして。
だめもとで「ギンリョウソウはまだなんですかねー」と声をかけたら、「あぁ、こっちにはもう咲いてますよ」と。
え!!ホント!!聞いてよかった!!!
ちょっとあがったところに咲いていました!!嗚呼嬉しい。去年逃したから尚更嬉しい。そして禁足地に入れてくれてたくさん写真撮らせてもらえて。
(なのでこの接写っぷりなのだ)もう本当に感謝感謝です。声かけてみるべきなんだなぁ…。ありがとうございました!
んで満面の笑みをたたえて第二の目的、三輪山登頂です。
三輪山も今年で何回目かなー、多分最低4回はあがってると思うのですが、今年は体力作りを兼ねて再登頂です。
Evernote Camera Roll 20130428 095827
(そのためにトレッキングシューズで行ったんですな)
あがりが90分、くだりが30分の2時間は真剣に自分と向き合う場所だったり。いろいろ自分のこと、対人関係のこと、息子のこと、考えながら歩きました。
寒いよ、という話だったんだけど、厚手のカーディガンはさすがに暑く。
肩に乗せて歩きました。
三輪山から次、どうしようかと思っていた理由として、1箇所以前タイムアウトで断念した場所を目指そうと思っていたのですが、2時間も遅れたバスのせいで三輪山登頂が結局お昼になってしまって、そこまで行けるのか微妙になりまして。
でもまぁ近くまで行ってみようかと乗り換え案内を調べるとタイミングよく直行の電車がすぐ来るようでした。
のでそれに飛び乗り一路「御所(ごせ)」へ。
こちらは葛城氏の土地で、葛城の道というのもあったり葛城山と金剛山という2山が有名です。
で、わたしはこの葛城一言神社に行こうと思っていたのですが、何を思ったのかついうっかりロープウェイを見つけてしまってなんとなく乗ってみたくなってしまって(笑)ホント、この方向転換は一体なんだったんだろうと自分でも未だに不思議なのですが。本当はホントに一言神社に行く予定だったんです。
なのに全然関係ないロープウェイ。なぞです。
で、ヤマツツジの見ごろでもなく肌寒い金曜日はお客さんもなく、ロープウェイが貸切で(笑)
山頂へあがってぼんやり歩いているとハイキングコースなどがあったのでふらりとその細い道に入ってみると。
Evernote Camera Roll 20130428 095839 Evernote Camera Roll 20130428 095834
自生のカタクリなんて初めて見ました。
かわいーなぁ、かれんだなー。

まだ見頃ではないのですが、ヤマツツジも咲き始めていました。
この葛城山はGW辺りにはヤマツツジが満開になり、一面ピンクになるそうで。吉野の桜みたいなもんなんでしょうね。
まだまだ山桜も残っていて、新緑が萌える薄緑の合間にふんわりと山桜の淡い紅が浮き上がっていて幻想的でした。
この光景を見て、桜ってのは並木道だったりするのを間近で見るよりも、山肌に点在する薄紅のぼんやりしたかたまりを山の一部として眺める方が桜の本当の魅力のような気がしてきました。
桜の花ひとつひとつはそんなに凝ったものでもないものだから、一枝よりも一樹(こんな言い回しないと思うけど)、一樹よりも一山、という広い枠で見たいなーと思ったり。来年はそういう桜が見られる山に行ってみたいと思います。
こんな光景を目の当たりにして春の霞だの山桜だのと何句か詠んでみたりもしてましたが、この時わたしは三輪山では3日分の荷物を預けて登山してきたけどここではそんな荷物預け場所が見当たらずでっかい旅行かばんと三輪駅近くに出来た酒蔵直営の酒屋で日本酒2本買ってホクホクのままぶらさげていた状態でした。
そうなんです、酒瓶抱えて大荷物でハイキングコースを歩いていたんです、低山だけど三輪山にも登頂した後で。
そして夜行バスに乗る数時間前に息子とバーミヤンでご飯食べた以来、お茶しか口にしておらず。
意外と元気にハイキングコースを歩いていたのですが、ふと立ち止まってそのコース全容を見たら、1周2kmと書いてあったのですがまだまだ半分にも至っていないことが判明し、更にこの先は延々上りになることが見えまして。
あ、こりゃダメだ途中で確実にシャリバテおこすわ。
そう踏んだのでそのまま戻ることに。すると途中でハイテンションで休憩してた奥方二人がやってきまして。
(だいたい山ではすれ違うときに挨拶するのでなんとなく顔を覚えることが多く)
「あら戻るの?」と案の定声をかけられました。
「はい、ちょっとバテそうだったので」と返事したのですが、すれ違ってから「あら、若いのに」というのが遠巻きに聞こえまして。
そうよね、たかが2kmのハイキングコースも歩けないなんてだらしないわよねー。ホント若いコって弱いわねー。
じゃないの!!!!!あたし今ホントに過酷な状況なの!!!空腹で寝不足でひと山登ってきた帰りなの!!!
振り返ってその奥方捕まえて言い訳しそうになりましたが、そんな気力ここで使うのももったいない!誤解させたままでも致し方ない!
非常に心残りでありましたが、しょーがないので(?)そのままロープウェイ乗り場まで戻りました。
そのまま本日の宿へ。

わたし、老舗ホテルが大好きなんです。あの高級感というか重厚感というか。新しくキレイで快適なホテルよりも、その歴史に磨かれたような艶のある柱なんかにうっとりとしてしまうようで、そういう重みを感じるホテルに泊まりたいなーと思っていて。
で、泊まったところは一応名前の通ってるところでサービスも過剰でなかったのですが、この日はなにやら海外からの宿泊客がものすごくてまったく静かでなかったのでした(笑)さすがに宿泊フロアで騒ぐ人はいなかったけど、フロント前はスーツケースが山のようになっていてでっかいおじちゃんおばちゃんがたくさんいて。
そんな時にチェックインしようとしてたのでちょっと…ねぇ(笑)
この日は大切な友人…友人でいいのかな。知人だとちょっと距離ある感じするけど、友達、って呼ぶのもなんか違う気がするなぁ。…という人と会ったのですが、なんというか物理的な距離と時間というのはリンクしていないのでしょうね、きっと。しばらく振りに会ったのですが(わたしは)なんのブランクも感じず、先々週もそういや呑んだよね?あん時どこ行ったっけ?みたいな感じで、とても楽しい時間を過ごすことができました。
繋がりというか、関係性というか、適切な名前がみつからないんだけど、どこかわたしに欠けている必要な部分を持ち合わせているというか、うまく言えないけど、その人の何かがずっとわたしのそばにある、のかもしれません。
以前ともだちに「友達に縛られる必要はない、離れていく関係性だってあるんだから。みずものだと思え」と諭されたことがあって(ちょっと悩みがあったのですな)。その言葉がずっと心に在って、とても大好きな友達はたくさんいていつまでも一緒にはしゃいだりしたいと思っているけど、その反面、そういう友達も何かのきっかけで離れてしまう可能性があるってこともわかっているつもりでいます。寂しく思うはずだけど。仕方ないこととして受け止めるはずです、きっと。
でも、この人は多分違うんじゃないかと思っていたりします。多分、ね。

鋭意執筆中

三日間の関西旅行は非常に実りある旅行でした。
頑張って書いてます。しばしお待ちください。

20130424-094135.jpg

「山が」

毎度練習曲の話ですみません。
だって仕事か合唱かしかないんだもん。

心の四季の練習については、レクイエムよりも情景を描くことが大切なようです。
歌に心というか感情を乗せるのでしょうか。
(「か。」じゃないな、「です。」なんだろうな)
今日は「山が」という曲。

山が遠くから人の心をとりこにする
人はそのこころを探しに行く
それで身体ごととりこになる

わたしはこの詩を読むと、ある男性を思い浮かべます。
知り合った頃は…なんだろ、登山してなかったはず。登山始めてからしばらく翌日の筋肉痛の話をよくしていたのを覚えているから。
その男性の姿がまさに「とりこ」のようで。
毎週のように山を歩き、おそらくそのテリトリーの尾根はほとんどもう制覇したのではないかしら。
山に呼ばれるように休みになればあがっていき、季節の花や峰々の写真を撮っていて。
大きな杉に会った、観音様を見た、そんな話がブログにあがっていて。

そのブログに残る「とりこになった」心の景色が、譜面を透過して見えてきます。
わたしにとって「山が」は、その男性の撮った写真に見える丹沢の山々で、明るい空と濃い緑の尾根だったりします。

エテルナの見学(その場で入団しちゃいましたが最初は一応見学でしたん)の時に歌ったのでとても印象深い曲の1つですが、
この時にすでに、うめちゃん筆頭にだいちゅけ、ひこタンがよぎったのはまだ1か月ほどしか経っていなかったんだなぁ。

「山が」の光景を想う時、自分があがった富士山や三輪山、大山でもないのは、
わたしが多分山にとりこになっていないからなんでしょうね。
心奪われるほどの「何か」を迎えたいと思いつつも、そんな余裕がないと頭が考えてしまうつまらない人に成り下がっています。

明日からしばらく家を離れます。

品川パフォーミングアートシリーズ 商店街編

を観てきました。

▼北品川でパフォーミングアート始動-第1弾は地元ダンサー2本立て公演
http://shinagawa.keizai.biz/headline/1791/

以前、大橋可也&ダンサーズのイベントを観たのですが、(この辺りか)今回はもっと広いところでじっくり座って観ることができ、より向き合える感じがしました。
というか、わかりやすかった、というのかなぁ。知識というか共感できる感覚をまだあまり持たないわたしにも。
このイベントを行った北品川本通り商店会のフリースペース「楽間」は、古い商店を改造した建物のようで(多分母なら知ってるんじゃないかなぁ、地元だし)、旧道に面したウィンドウからは、通行人が訝しげに覗き込んだりしていて、それもまた楽しかったり。
毎回(といっても今回で大橋可也さんのイベントは2度目だけど)建物内だけでないので、外で偶然遭遇した人たちは一様にぎょっとするので、このノミの心臓のわたしからすると恥ずかしくないのかなーとか思ってしまうんだけど。。。

今回は大橋さんの振り付けではなかったようなのですが、コンテンポラリーダンスって規律(リズム)よりも表現力重視なのかなぁと思ったり。
というのは、前回(と言っていいのか?「Books&Phantoms」のことです)と動きが似ているところが結構あったのですが(あ、国枝昌人× 古舘奈津子のお二人なんですが、女性の方のみでした)今回は「何かいる」という感覚よりもお二人の共鳴…うーんなんか違うなぁ、なんて言ったらいいんだろう…ラリーというか、そういったものを感じることが多かったようでした。
ダンシーズの方々のはストーリーが結構見えて一緒になって「待って」しまうところがありました。
それにしてもダンシーズ、めっちゃすごい!!!と思ったのが、

1.仰向けに寝る
2.足をあげる
3.腰もあげる
4.背中もあげる
5.手もあげる

って、どういう格好だかわかりますか?
肩だけで逆立ちしていたんです。
しかも結構長い間。
で、起き上がって普通に動くから、すごい。口開けて観てたと思います、絶対。

途中咳込むかと思ったけど、なんとか堪えて最後まで堪能してきました。
表現方法って様々で楽しくって、色々勉強になるなーと思いました。

大橋さん、お誘いありがとうございました。
とてもいい刺激になりました。