小笠原界隈で出会った動物たち その2(虫とか蛙とか注意)

6月上旬というあまり気象条件のよろしくない時期に行ったならではの出来事だったようです。

入港日夜はナイトツアーを申し込んでいました。

小笠原は、そこに住むほとんどの動植物が小笠原固有種のため、色んな制限があったりします。というのはその固有種を守るために外来種を防ぐところから始まり、既に入ってきて増殖してしまい生態系を壊しかねない脅威となった動植物を隔離したり駆除したり。色々工夫や苦労をされている環境のため、「○○という動物が見たい」って旅行者が勝手にザクザクと山に分け入って双眼鏡でキョロキョロができなかったりします。
小笠原には専門の資格を持ったガイドさんがいるので、そういった方々の指示を仰ぎながらツアーという形で自然観察を行います。
前回行って感動した初寝山のアカガシラカラスバトのサンクチュアリも然りで、ノネコ(人間が小笠原に持ち込んだ、鼠対策やペットの猫が野生化したもの)から赤ポッポ(アカガシラカラスバトの愛称)を護るために高い柵で覆われています。
ナイトツアーはそこまで厳重な区域に入るわけではないけれども、旅行者がフフーン♪と散歩してて見られるような場所じゃないところにしかいない、夜行性の動物を見せてあげますよっていうツアーです。
今回は個人的にfacebookで見る「星空をバックに写真」を撮ってくれるツアーを申し込んだのですが(これはオプションなのかな?しょっちゅうやってるのではないのかもしれない…)見事な曇天でハナから諦めていました。前回星空堪能したしね。
二見港近くで晩御飯を食べ、19時少し前に外へ出てツアー会社の店舗で出発を待っていたところ。
「ハアリが出て来たね」と。
店の扉を開けると2cmないくらいの虫が外を飛び回っているのが見えました。それもつい先ほどまでは飛んでいなかったのに突然どうしたの?という量。
街灯に群がる羽虫が街灯だけじゃなく街全体的に飛んでいるようでした。
「こんな蒸し暑いのに珍しいね」との事ですが、この時期ってこういう虫が出現する時期なの??

羽虫を避け、車に乗りこんで他の宿に泊まっているツアー参加者を拾いつつ、ナイトツアーが始まりました。まずは夜の海岸で散策のために小湊海岸へ。
東京都最南端のバス停のあるところです。
で、目指していたのはいいのですが、道中増えていく羽虫にツアー参加者がだんだん恐怖を覚えるほど。
そして。
運転のガイドさんは「踏むとわかるんですよねー。今日はまだ踏んでないです」って言っていましたが、ホントに踏んでないの?ホントに踏まないで走る事が出来るの??と訝しむほどの(Sさんごめんなさい!)蛙が道路を縦横無尽にゲコゲコしていました。
残念ながら(幸いなことに?)ぼけた写真しかないのですが、とにかくこれを避けて走れる技術は素晴らしいというほどの蛙に埋め尽くされた道路の写真です。
 
道路にいる茶色っぽいのが蛙、オオヒキガエルという外来種です。この蛙、ご察しの通り大量発生した羽虫を食べに出てきているそうです。
車の中は、羽虫と蛙に慄きっぱなしでした。
「でもねー、羽虫も1時間くらいしたらいなくなるから大丈夫だよー」という言葉にちょっとだけ安心。
車は細かく左右に動き、蛙を避けながら小湊海岸へ向かいました。

夜の小湊海岸はヤドカリとカニを見る事ができました。
真っ暗な海岸を懐中電灯で照らすとサッと逃げる影を見つけて追いかけると、
 
こんなカニが。あ、ヤドカリは撮ってなかったっぽい。
夜だからってみんな寝静まっているわけでもなく、こうやって闇の中を闊歩する動物もいたりするんですね。
きっとそこは昼間の暑さも天敵も少なくただ見えにくいってだけで快適な空間なんだろうな、と思います。
静かな闇の世界はきっと生き物たちには優しいんだと思います。

他に見たのは、グリーンペペという光るキノコ。
 
こんな小さな(傘の直径がおそらく1cmほど)キノコが光るんです。なんで光るんでしょうね。
前回は乾燥していた時期のため全く生えていませんでしたが、今回はしっかり傘が開いたキノコを見る事ができました。

あとは写真を撮らなかった(撮れなかった)オオコウモリ。
こちらも前回見られなかったので、今回ゆっくりとリュウゼツランの花を貪る姿を見る事ができて良かった!
小笠原唯一の固有哺乳類です。

オガサワラオオコウモリは、小笠原諸島で唯一の固有哺乳類です。小笠原諸島全体に生息しています。
現在の推定個体数は200〜300頭程度と考えらており、絶滅が心配されています。
国指定天然記念物.
国内希少野生動植物種

小笠原群島:父島=推定150頭以上〜  母島=推定数頭
火山列島 :南硫黄島=推定100頭〜
北硫黄島=推定数十頭、硫黄島=推定数頭。
※北硫黄島、硫黄島、母島では絶滅寸前の可能性があります。
各島間の遺伝的情報については、現在研究中です。

出典:小笠原自然文化研究所 オオコウモリ

今回、出港日午前中は中山峠のハイキングを予定していて、そこでまた固有種を堪能できると思っていたのですが、ダムの貯水率が一気に100%超えするほどの大雨が続いて土砂災害警報が出てしまいあえなく中止。楽しみにしていたのですが、まぁ貯水率回復したからいいか…。山中峠も逃げないし。

これで今回の小笠原ネタは終了。
あとはノネコの保護について別記事起こす予定です。いつになるかわかんないけど。

あー早く帰りたいなぁ。