第5回天理大学考古学・民俗学フォーラム「モノと図像から探る怪異・妖怪の東西」 行ってきました

長いなタイトル…
合唱練習前に寄った新宿歴史博物館でチラシを見つけ、申し込んだセミナーへ行ってきました。

小松和彦先生がコメンテーターとしていらっしゃるということで(もちろん発表自体のタイトルもとても興味深かったけど)いそいそと申し込んだ感が否めないのですが、全体を通して一番面白かったのがやはり先生のコメントでした。なんて言い切っちゃうと実も蓋もないですけど、タイトルがもう少しその発表に沿ったものであったら良かったのではないかと思いました。いや、楽しかったんですけどね、ちょっと違うんじゃないかなーって。このタイトルに釣られたので、こういう話ばかりが聞けると思ったのにちょっと違っていたので。それもまた興味深く「ほほぉ」となったのですが。

▼「モノと図像から探る怪異・妖怪の東西」
http://www.tenri-u.ac.jp/calendar/q3tncs000016owzx.html

基本的にこういったセミナーでは撮影禁止なのですが、なぜか撮り放題でした。
でもまぁネットに掲載は色々問題あると思うので(facebookには一部掲載しましたが限定公開だし二次配布はされないだろうし)こちらではやめておきます。
発表はそれぞれ興味深く結構メモ取りました。発表の構造的に面白かったのが、橋本英将先生の「捏造された狂気?——フェニキアの幼児供犠」でした。フェニキア人という、そもそもをほとんど知らなかったのですが、発掘からその遺物の解析、導かれる仮説が結構わくわくして、考古学って地面掘り返すだけじゃなくて探偵みたいな役割も備えているんだなーと思ったり。色々なルールや流れ、心理に則って紐解いていくと今まで正しいと思われていた事も覆されるんだということを改めて実感。なるほど。
笑ったのが(結構笑うシーンが多かったのも興味深い要素の一因でした)、西水坡遺跡(せいすいはいせき)についての質疑応答(正確にはこの遺跡についての話ではなかったのだけどちょっとはしょります)。
発表ではこの写真とその配置図が資料として掲載されていました。
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この遺跡は、

遺跡から発見された龍虎のレリーフは、現代からおよそ6400年前のもので、これまでに中国で発掘された龍にまつわる文物のうちでは最古のもので、考古界からは「中華第一龍」と称されている。
引用:wikipedia 西水坡遺跡(せいすいはいせき)

ということで左側が龍というのは何となくわかるのですが、人骨を挟んで反対側の動物がトラというのはなんでなんですか、という質問がありまして。

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トラって一発でわかる要素といったらカラーリングと顔だと思うのですが(サイズは置いておいて)、この場合果たして人骨の右側がなぜトラなのか、という質問が出てしまい。確かにトラだと言い切れる要素がひとつもない気がする。
発表者も困惑。「龍といったら…対はトラだからじゃないでしょうか」というなんとも煮え切らない回答で(笑)
この遺跡のくだりが出てくる発表の主題が龍だったのでトラはもう全く眼中になかったんでしょうね。

でもって小松先生のコメントを経て大きな疑問というか、知りたい事ができました。
それは西洋におけるドラゴンと東洋(中国)の龍の扱いの違いはどこで差がついたのか、ということ。
悪の権化として描かれるドラゴンに対し王の象徴として高貴なものとされる龍は同じように水(蛇)から派生してきた幻獣なのに、どうしてここまで正反対になってしまったのか。その分岐点はどこなのか。調べてみたいと思います。いつか。