京都へ

夏休み第二弾は京都へ日帰り。

私が日本の様々な神仏信仰に触れるためにうろうろしているのには理由があります。
「その『ご由緒(神仏の起源)』に本当の事は書かれていない」
「理由なき習合はあり得ない」
これは独学ながら現地を歩き書物を紐解いて得た「実感」であって、正しい事ではないのかもしれません。事実と真実に相違があるように、正が全という訳でもないと思っています。矛盾や葛藤を孕んでいるからこそ人は何かにすがるのでって、その対象も矛盾だらけなのかもしれません。だからあえて「実感」という訳で、これは私が私のために持つ信念のようなものだと思っています。
そんな事を漠然と思うようになるきっかけ…もっと基の部分の「神社とか寺ってなんぞ」という疑問を持つきっかけ(もちろん「事実」としての神仏は知っていましたし年中行事にも割と参加してましたけど、もっと根本的な部分の話)は結構明確で、20代の頃にアルバイトで巫女をしたのですがそのバイト先の富岡八幡宮の御祭神、応神天皇でした。「天皇って神様なの?」という疑問から古事記を読み、そこに描かれた神話の世界とその川底に潜む古事記編纂期の勢力争いがまるで砂金のように輝いていて、「この古事記が書かれた人たちの聡明さは一体なんなんだろう」と感動しました。一時期通った國學院大學のオープンキャンパスで「古事記を読む愉しさは文面でなく行間である」と仰った先生の言葉から「隠されたモノ」の存在に目がいくようになり、初めて行く神社では本当に失礼だと思いながらも敷地内を舐めるように観察し本殿背後へ周り込み(禁足地にはもちろん入りませんけど)、瀟洒な本殿に上書きされた土着の神をこの目で確かめたいと思うようになりました。

京都といえば学生の頃わけもわからず連れて行かれて記憶に残ってるのはみんなが寝静まった後に仲の良かった同室の女子と窓辺でひそひそと恋愛相談したくらいしかないのですが(私にもそんなかわいらしい過去があったのだハハハ)、それから10数年経って初めて京都へ連れて行ってもらったのが2004年夏。今から11年前でした。
初めて行った京都で一番感動したのが(これ言うと本当に申し訳ない気持ちでいっぱいなんだけど…)鶯張りの廊下でした。歩くたびにひよひよと鳴く廊下は敵の侵入を防ぐためとかそういう厳しい環境からの発案だったようですが(単にガタピシ言わせてるわけではないので)、そういう現実に向けて「鶯張り」なんて風流な名前をつけてしまう日本人の感性がとても好きで。この廊下(確か初めての鶯張りは二条城だったと思う)に感動してから事あるごとに「お金持ちになったら鶯張りの廊下で襖絵はキーヤンに描いてもらう」と触れ回っております。どうかご賛同よろしくです。
それと、三十三間堂の千体の千手観音像。初めて来た時、感動したわけではないのですがなんでだか涙が止まらなくなってしまって自分でも焦りました。何かが共鳴したのでしょうかね。山盛りの像を前にしてこみ上げるものを抑えきれなかったのを覚えています。

今回の京都で訪ねたところは全て以前行ったことのあるところです。
当時の写真も残っていて比較してみたりしてましたが、季節も同じ頃というのもありたかが10年くらいじゃそう簡単に神仏は変わらないわけで。境内の大きな樹木は何十代にも亘る人の営みを眺めてきていて、私もその大木を見上げた数多のうちのちいさな一粒でしかなく。鬱蒼とした木々から降るような蝉の鳴き声を聞きながら(そしてそれも夕方にはヒグラシに変わり夏も終わりだと言っていて)変わらないものと変わっていくものの差…違いなんかを漠然と考えていて。日々移っていく季節の中にもまた同じようにめぐってくる匂い、音、空気様々なものがあって、それが母のいう「もののあはれ」なんだろうと思います。そういったものを感じる事ができる私は今ここで幸せだと思っています。

今回行ったところで前回と違っていたところがありました。
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公式サイトがないようなのでこちらを貼っておきます。
▼木島坐天照御霊神社
http://www.bell.jp/pancho/travel/hata/konosima-jinja.htm

以前行った時は石を積んで作ってある池のようなところに水がなかったのですが、今回はまとまった雨があったせいかちゃんと池になっておりました。10数年前に干上がってしまったと聞いていたので、以前の姿を見ることが出来て良かった。
三柱鳥居については色々言われておりますが、個人的には「鳥居を自立させたかった」という名目かなぁというところに落ち着いております(2本の柱でももちろん自立しておりますが、もう1本増やす事でより強固になるしというところかな。写真の砂?が積んである三本の柱に囲まれた中央部分の意味はわかりませんが…)。

ダイジェスト。
■三十三間堂
真ん中の大きな千手観音像の向かいの扉が開いていて外に出られるの初めて知った。何回も来てるのにこれは初めてだった。
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■下鴨神社
摂社の井上社では、夏場こんな風に御手洗池を休憩所として開放するそうで。こちらも初めて。
ものすごく冷たくて一瞬にして汗がひいた。
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■上賀茂神社(賀茂別雷神社)
摂社の苔むした屋根
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■大田神社
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■今宮神社参道「かざりや」
「次は今宮神社」というバスのアナウンスを聞いて時刻は16時半、もうあぶり餅は食べられないかなぁと思っていたら、隣に座っていた女性が「17時までやってますよ」と声をかけてくれました。更に「二か所お店があるのですが、『かざりや』がお勧めです」と。
実は彼女、かざりやでアルバイトをしている方でして。とても笑顔が可愛らしかったので「じゃあ行ってみますありがとう!」とバスを降りました。
(11年前にも今宮神社にてあぶり餅食べていましたが、写真確認したところお皿が違うので向かいのお店ではないかしらという感じ)
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■南禅寺へ
行く途中で。バスの車内。これ見てピンと来た方素晴らしい。
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南禅寺と言えばこれ。お化け灯籠。
日本三大お化け灯篭のひとつで、他は名古屋の熱田神宮、上野東照宮にあります。
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そしてもうひとつ、南禅寺といえばこれ。
曇り空の上に夕暮れだったので非常に暗い写真になってしまいましたが。水路橋。
この写真の奥(高い方)から手前に向けて水が流れてくるのかと思っていたら逆でした。水路橋の上に上がってみて確認。こちらも初めて見ました。
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自分を見直すいい機会になりました。
充電器持たずに1日過ごしましたが自宅に着くまで電池切れになる事もなく(ってすごい事だと思うんですけど。いかがでしょうかiPhoneユーザさま)記録を残す事よりも記憶にとどめる事を優先にいました。
目に見えるようなものを会得した感はないのですが、きっと何かを持って帰ってきていると思います。