One Night Dream ~ジンジャエールの泡のように~

だってこういうタイトルで、って言われたんだもん。

先週日曜、あまり好ましくない天気予報だったけどリトルロックの壇蜜こと(そういや壇蜜って最近聞かない気がするけどご健在なのかしら)まさみーさんとドライブしてきました。彼女のこれまた愛らしいムスメッチが一緒の時はあくまでも子供が聞いても大丈夫な大人らしい会話を心がけておりますが、今回は春休みでご主人とともに帰郷中とのことでふたりきり。というわけで散々二人で呑む時のテンションそのまま車に持ち込んで(もちろんお酒はついてませんが)朝から西伊豆目指しました。

「えっちゃんの好きなところでいいよ」という言葉に甘えて、そういえば伊豆って東側はよく行くけど西側ってあまり行く機会ないなーと思ってmapをだらだら見ていてふと三津という地名にひっかかりが。あれ、なんだっけなーとその辺りを見ていて突然思い出したのが「スカンジナビア号」。
▼スカンジナビア号
http://ja.wikipedia.org/wiki/スカンジナビア (客船)

船上レストランとしてご存知の方が多いかもしれないのですが、このスカンジナビア号は客船だったため宿泊施設もありまして。
18歳の頃初めての独り旅で私はここに泊まりました。
この頃、初めてまともに付き合った人との色々な事で(あえてぼかす)どうしても独りでどこかへ行きたくて仕方なくて、当時はまだ「女1人宿泊OK」というホテルも旅館も少なくやっと見つけたのがこのスカンジナビア号でした。自殺なんかしないし、と独り言ちて駅前のツアーパンフをごそごそ漁ってやっと見つけたところだったので(当時はホラ、ネットなんて便利なものもなかったから口コミも遠くて聞こえず、紙媒体→電話、しかなかったのよね。おかげで出会えたんだけどさ)当時の記憶の中ではかなり鮮明に残っているものが多く。
ハタチ前の小娘なので宿泊+食事はさすがに高くてできず翌朝のバイキングのみだったのですが(この辺おぼろげ)、初めて独りで誰も知ってる人がいないところで寝るというのはまだうすら怖くてなんだか眠れそうもないなぁと思いながらぼんやりテレビを観ていたのを覚えています。
スカンジナビア号は「七つの海の白い女王」と呼ばれるだけあってその外見だけでなく内装も美しく優雅で、こじんまりとしたところは船だから仕方ないものの、調度品のひとつすら手を抜かない気高さは当時の私ですら感動するほどでした。とにかくすらりとした貴婦人を思わせる美しい船でした。

そんな思い出が目の前にぶわっと広がり、もういなくなってしまった(沈没した経緯は知っていました)跡地には今何があるのだろうと思ったら、桟橋近くの喫茶店に資料館が併設されているとの情報を発見しました。そこで速攻まさみーさんに「海のステージっていう喫茶店に行きたいの」連絡。えっちゃんなにトチ狂ったんだと思ったと思います(笑)
そんな出発前を経て、いざ、西伊豆へ。

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朝は天気良かったんです。
富士山には傘がかかっていたけど。

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▼海のステージ。 ←「。」が付くのが正しいみたいね
http://live-fuji.jp/umisute/

http://tabelog.com/shizuoka/A2205/A220501/22018912/

正直ぎょっとする外観でした(笑)んでも外からもみてわかる通り店内にはスカンジナビア号の写真らしきものが飾ってあるのが見えたので意を決して中に入ってみました。テラス席の方でせっかくだからなんか軽く食べようかみたいな話をしていたのですが、私は棚やらモニターやらで隔離してあるその資料館の方に釘づけになっていて。そちらの方へわしわしと歩いていくと、資料として置いてあったと思われる優雅な風貌のダイニングセットでご主人とその奥様と思われるご夫婦が餃子食べておりまして(笑)ちょうどお昼時にお邪魔してしまった私も悪かったのですが、スカンジナビア号資料館と銘打ってるところで餃子はないでしょ…って思わず苦笑。奥様も「ごめんなさいねぇ」とお皿持って退散してしまいました。申し訳ないです。
で、餃子臭のただよう資料館スペースにてご主人に「スカンジナビア号に泊まったことがありましてこちらに来ました」と告げるとぱっと満面の笑顔で「そうですか、そうですかそれはそれは…」と嬉しそうにあちこちの展示物を解説してくれました。
外で軽食でもと思っていて頼んだものもそのまま放置で私はその説明を聞いたりご主人と話をしたりしました。そうそう、こんな内装だったとか、窓の形とか、レストランの階段の手すりの美しさとか、あぁこんなだったんだっけと思ったり記憶がよみがえったり。
最後にご主人は当時のスカンジナビア号で放映していた映像と、修理のため出航するセレモニーのニュース映像を見せてくれました(DVDが再生できないというご主人の代わりにまさみーさんが操作するというオマケ?つきで(笑))その出航シーンは沼津の人ではないしたった1泊しかしてないのになぜかとてもこみあげてくるものがあり、桟橋から離れていく白い貴婦人を見て、ここに泊まった時の記憶を持っていってくれたのかなぁと思いを馳せ。
同じ出航セレモニーを放映したニュース全てを録っていたと思われるDVDはいつまでも止められる気配はなく、途中で外のテラス席へ。
桟橋はこの辺りに伸び、スカンジナビア号はあのあたりにいたんだろうと目を細め思い出そうとしてみるけど、なかなかうまくはいかないもので。
なんとなくぽつりぽつりと落ちてくる雨粒を感じながらも海っていいねーと。
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テラス席はこんな感じ。
席っつーかただ置いてあっただけなんだけど(笑)

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この辺りに桟橋が伸びていて、というところと郷愁に浸るわたし。
大笑いしたのが「たった1回しかヤッてない男を未だに忘れられないみたい」という例え。
確かにその通りだ(笑)そんなに引きずるタイプじゃないと思ってたんだけどさそり座故の根深さなのか(笑)
(という話から「ワンナイトラブじゃかわいそうだからドリームでいいよ」という妥協案戴いたのでタイトルになりました。ちなみにサブタイトルのジンジャエールは、ルームサービスでジンジャエールを頼んだんだよ、という話から。私だって未成年の頃はそれなりに自制心があって未成年だって告知しているところでは呑まなかったのだ)

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資料館内のようす

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お土産にマッチを戴きました。
残りも少ないかと思われるのに2つも。
本当にありがとうございました。

さて思い出にも浸って堪能した事ですし、さて堂ヶ島へ向かいましょう!なんて言ってるうちに空はどんどん雲行きが怪しくなってきていて。
こりゃ予報通り雨なんだねぇなんて思っていたところで「えっちゃん!鬼がいる鬼!!」とまさみーさんが。
広い駐車場の端に妙な建物と体長3mくらいはありそうな鬼がにこやかにピースしていました。
なんじゃこりゃ!とりあえず寄ろう!と駐車場に車を停めて改めて建物を見ると。
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▼伊豆極楽苑
http://izu-gokurakuen.com/
ちょっと!秘宝館もあるよ秘宝館!やだもう行くしかないでしょもう!と妙なテンションで共通券(地獄巡りというこの建物のメインと秘宝館は別料金だったので両方入れる方ね)購入してわくわくしながらいざ中へ。入った瞬間「あ、ここまずかったかな」という空気を感じたのですが、淡々と棒読み(でたまに抑揚があるのでとても不思議な口調でした)で地獄の説明をされているうちになんだかソレもアリなのかというよくわからない気分になってしまい。閻魔様他地獄の審判の方々の説明中、取材と称してカメラマンらしき女性が撮影していました。もしかしたらどこかのメディアに私とまさみーさんが神妙な顔をして説明を受けている写真が載るかもしれません。
内部は撮影禁止だったので1枚もないのが残念ですが、あの世界は是非ご自身の目で確かめて戴くことをお勧めします。
とにかくすごかった。と陳腐な表現しか出来ない私が悔しい。
個人レベルであの展示を作っていたとしたらものすごい執念だと思う。どんだけ地獄好きなんだと。
色々とツッコミどころ満載で眩暈がしそうなほどの地獄っぷりで(そしてその手作り感にも)悪い事しちゃうとこうなるからやめとこうかなーとか漠然と最後の方は思っちゃったりして子供にはホントいい教育になるのではないかと思います。こんな汚れた大人ですら思うんですもの、子供にはてきめんでしょう。なんつって。
地獄を堪能したあとは一度建物から出て秘宝館へ。歩くたびにすごい音がして本気で床が抜けるのではないかと心配になるような所ですが展示してあるものはもしかしたら店主はこっちを本当はやりたかったのではないかと思うほどの熱の入れようでした。展示物についてのコメントは差し控えますがそこはかとなく漂う昭和臭になんだか気恥ずかしさを感じて。エロスにではなく、そのエロスに向かう熱意というかそういうものに。

店主のウィットにとんだセクシーな文章を読み終えて外に出ると雨は本降りに。
顔パネもできずに車に乗り込みいざオトナ☆ドライヴ目的地の堂ヶ島へ。寄り道が充実しまくりでしたが目的地は堂ヶ島だったんです。
現地ももちろん雨で、しかも15時回っていたため駐車場の車もまばらでした。
堂ヶ島はもちろんクルージング。東洋の青の洞窟と言われる天窓洞を見たかったんです。
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しかし雨!やはり雨の観光は色々とね…。
せめて洞窟の中に入った時くらいはデッキに出ればよかったと今更思うのですが、雨粒に濡れた窓ごしに撮る写真は本当におそまつで。
嗚呼残念。だけどあげちゃう。楽しかったしキレイだったし。欲を言えばやはり晴れていたらもっと青くてキレイだったんだろうなぁと。
にしても堂ヶ島のダイナミックな景観はとても素晴らしいね!大地の脈動をこんなに間近で見られるのはすごくステキ。
伊豆大島のバームクーヘンもダイナミックで恰好いいけど、堂ヶ島の島々はもっと年代によって重ねられた土や石の質が違うからグラデーションが面白くて。積み重ねられていったもの、そしてそこに訪れるおおきなうねりとを今の私が味わえる素晴らしさ。私だけでなくて大地も生きているんだなーという事を肌で感じられました。
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こんな写真を撮ってもらったり。
(帽子は自由にかぶっていいよ、ってヤツを借りました。「ちょっとその帽子かぶらしてよ!」とか迫ったりしてません)
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このあと駐車場そばのお寿司屋さんで遅いお昼を食べ、もしまだこれからどこか回るのなら…と色々板前さんに教えていただきましたが明日は月曜日ということでお礼してそのまま帰路へ。
満ち足りた気分でうとうとしていたところでまさみーさんに「えっちゃん!ヤギがいるよ!」と言われハッと目を開けると。
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え、ヤギ?
最初私には犬かなんかにしか見えなかったのですが、こちらを向いた瞬間その顔の長さというかのっぺりした感じというか、そういうので気づき大爆笑。
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わざわざ分けて載せるほど鮮明に写ってないのですが、まごうことなきヤギでした。
春とはいえ雨は冷たいのにホロもない軽の荷台でじっとしているヤギにわたしたち釘づけ。そしてその過酷な状況に同情し始めていつしか応援まで。
しばらく山道を走っていたのですが途中コンビニに入ってしまいそこでおしまいだったのですが(わたしてっきりついてそのコンビニに寄るのかと思っていたんだけどわざわざヤギのためだけに寄り道ってのもねぇ(笑))「ヤギ!バイバイ!!」と手を振りわたしたちは東京へ向かいました。

日帰り伊豆ドライブ、本当に楽しかったです。
まさみーさん本当にありがとう。泣きっぱなしの日々から少し解放されました。