ファインバーグ/夏目漱石

木曜日にお休み戴いて行ってきました。
最近洋画ばっかだったけど、ファインバーグは伊藤若冲が観られるので。

▼ファインバーグ・コレクション展 -江戸絵画の奇跡-
http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/exhibition/special/2013/05/index.html

展示数が多いので見応えありました。
というか、「外国人から見た日本美術」っていうのがよくわかるラインナップのような気がします。
なんつーか「ザ☆ワビサビ」みたいな。
いや、めちゃめちゃいいんだけど、ストレート過ぎるというかベタというか。
1点1点はとてもいいんだけど、こういう「枠」にはめちゃうとなんかね…。

しかし改めて日本画を見ると、その構図の素晴らしさにやはり目を奪われるのであり。
酒井抱一の柿に目白図のバランス感覚なんてどうやったらこれが構図的に素晴らしいか、って説明できないんだけど、
その絶妙な配置に目がくらくらしまして。
あと素晴らしいと思ったのが、鈴木其一の群鶴屏風図/竹内栖鳳の死んだ鶴図かな。
あ、あと迫力あったのが、勝川春章の文を破る女図。
女性の怨念を表現するというのは相当なパワーが要ると思うんだけど、幽霊画でもないのに背筋に冷たいものが下りる感じのする絵でした。

▼夏目漱石の美術世界展
http://www.tokyo-np.co.jp/event/soseki/

先日(って結構前か)に美和ちゃんから夏目漱石を読むよう勧められていたので、キャッチに惹かれて。
「みてからよむか」ってわたしに言ってんの?と(笑)
夏目漱石は「吾輩は猫である」をちょこっと読んだくらいしかなくて、学校でも習った記憶がなく興味を持つ事もないまま今に至っておりまして。
(何か喉に詰まらせてもがくシーンしか覚えていなし)
なのでとても新鮮でした。
一応前情報としてwikiを見ておいたりもしたのですが、別にそんな情報要らなかったなーという。
吾輩は猫であるの装丁が非常に可愛くて可愛くて、やっぱりわたしはアールデコが好きなんだと認識。
印象的だったのが、木島桜谷の寒月という絵。
夏目漱石は「写真屋の背景にしたほうが適当な絵」と酷評だったそうだけど(わからなくもないが)、絵に見えないほどのリアリティがあって。
一瞬本当に写真かと思ったほど(だから背景にしろという夏目漱石もわからんでもないけどなぁ…うーん)で、その狐の足跡とか薄ら寒そうな空気が
ものすごい圧倒的で…いや静まり返った雪景色は圧倒的とは言わないなぁ…えっと…静なる迫力、…うーん語彙少ないので巧く伝えられないや。
ともかくわたしにはその雪の表面を撫でた冷たい空気を感じずにはいられなかったのでした。

夏目漱石が評価した絵は、そのコメントが結構ぎょっとするほどストレートだったので口悪い人なのかなーと思っていたんだけど、
展示されている絵が絡む作品の抜粋を読むとなんだか繊細だったんじゃないかとも思ったりもして。
色々考えさせられるところが多かったでした。
夏目漱石自身の絵画は、(えぇい!あたしもストレートに言うよ!)この人作家で良かったんじゃない?という程度かな。
デスマスクって初めて見たんだけど、なんというか存在感が凄いというか。
リアルだよなーってそうか本物だもんな、となんかおバカな問答を思わず心の中でしてしまったほど。

奇しくも夏目漱石展にも伊藤若冲が展示されていたので(他にも池大雅とかあったような)母への絵葉書は若冲2点に。
これからビアズリーの画集引っ張り出してきて夜呑みながらまた絵でも書こうかしらん。