美術館ツアー no museum,no life/鴨居玲「踊り候え」/マグリット

会社の創立記念日でちょっと早く仕事が終わるのでハシゴしてきました。
こんな時じゃないとなかなか…ね。

■これからの美術館辞典

http://www.momat.go.jp/am/exhibition/no-museum-no-life/
国立近代美術館って初めてだったんですが、この企画は非常に面白かったです。
今までのように「海外から絵がやってきた!やぁ!やぁ!やぁ!」じゃきっと集客はできないと思う。そんな課題から美術館の在り方を考え直したところで、きっとこの展示はなんらかの起爆剤になるのでは…と思ったり。というのも、やはり観る側の私たちって出来上がった完成品しか知らないじゃないですか。美術館ってそういうところだしそうあるべきなんだけど、ひとつの企画展を作るまでの工程を見せてもらえて(要は裏方の部分か)、そういう長い道のりがあってのこの企画があるんだ、という流れを知る事によって奥行が深まるのではないかと。
お客様(you)がなければ成り立たないという美術館(の企画展)。今まではただ絵を観に行っていましたがこれからはその裏側と壁にも注目し絵だけではなく美術館全体を伴って楽しむ事が出来るようになりたいと思いました。
この企画展の展示の中で面白かったのは壁の制作のクロス貼りの細かさの映像と、展示物が入っていた梱包材。←こんなのまで展示されていましたが、無造作に梱包材に貼られていた内容物の名前に「マネ」とかあって「これにあの絵が入っていたのか…っ!」っていう(当たり前なんだけど)衝撃が凄かったです、なんでだんかわかんないけど(笑)
そして特別な常設展(なんか矛盾…)も観てたらあっという間に2時間以上も滞在してました(笑)堪能しました。
個人的にメモしたのは河原温の浴室シリーズ。あまり近代画家を知らないので結構衝撃的でした。画集欲しい。

■北陸新幹線開業記念 没後30年 鴨居玲展 踊り候え

http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201505_Rey_Camoy_Retrospective.html
こちらの東京ステーションギャラリーも実は初めて。
なので先に行った国立近代美術館の次に入ってみて最初に思ったのは「せまっ」でした(笑)そりゃそうだろうよ(笑)
絵と絵の間隔がね狭いんですよね。だから人にもぶつかるしごちゃついた感じがするし。鴨居玲のあまりけばけばしくない絵だったとしてもなんだか饒舌に見えてしまう不思議。やはり展示するスペースって大事だったのね。
って思うけど、100年近く前に作られた東京駅の当時の煉瓦そのまま使用しているその建物はやはり素晴らしく。重みがあるけれど過剰ではない静けさに満ちていて、その煉瓦の壁だけでもむしろ絵として成り立つのでは?と思うほど煉瓦ひとつひとつが個性的でした。
というところでの展示だったため正直気持ちが拡散してしまって(鴨居玲と煉瓦とに分割されてしまったというか)、伊万里焼の皿でフレンチのフルコースを戴くようなもので、各々の素材の良さを相殺してしまった感じがもったいないなーと思いました。
なんて思いつつもやはり「私」の前ではそのくぼんだ眼窩から発する何かに私はまたもや貫かれてしまって辛くって辛くって泣きそうでした。
それを味わう事ができて良かったのでした。
鴨居玲の絵は、そうやって私を陥れてくれる大事な絵だったりします。また観ることができて本当に良かった。

■マグリット展

http://magritte2015.jp/
シュルレアリスムの巨匠って言われているのはなんとなくおぼろげに聞いた事がある程度だったんだけど。とにかく帰り道に散々呑みながらその「落ち着かなさ」について語ってしまったほど、なんていうの?不協というか「ざわざわ感」があり過ぎて、でもその「ざわざわ感」って気持ち悪いというのでなく「落ち着かない」というかすわりが悪いというか…嗚呼もどかしい、これ巧く伝わらないよもう。「傑作あるいは地上線の神秘」という絵の(もちろんそのタイトルもね!よくわかんないよ!)配置がね、そもそもおそらく絶妙なアンバランスなんだろうけどその空間を必死に対比を考えたりして。そうじゃなきゃ落ち着かないもの!という感じで常に私は何かその画面上の物の位置について必死に計算したり長さ見たりしていてどちらかというと絵を愉しんだというよりも数学的に測っていた、という方が正しいかもしれない(笑)キリコの絵もそうだけど、立体的に見えるはずなのに立体ではないという「この線が1本位置がおかしいんだよ!!!」ってのがシュルレアリスムって多いようで、どうも「様式美」にこだわる私には「ざわざわ感」が皮膚を這いずり回ってしまって唸ってしまうわけで。
きっとこれがマグリットやキリコの罠であって、ここに見事に陥る私はまさに「絵に描いたよう」であって。

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そんなこんなでコンセプトの違う企画展をそれぞれ堪能してきました。
よく歩いたね(笑)
帰りは同行のHタンチョイスの低温でじっくり焼くスタイルのフレンチで肉堪能。
ラムチョップはあまりに美味しくてフリーズしてしまった。
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