美しき世界

グラン・ヴァカンス観てきました。
正直に言いますと、起きて観ていられる自信が全くないほどの寝不足で常にうとうとしているような状態でした。

なので食事済ませていくと満腹で寝そうとかコーヒー飲んでおかないと寝そうとか色々考えてしまって結局空腹の状態でコーヒーを流し込んだだけで劇場へ。
今まで大橋可也&ダンサーズのイベントって本屋だったりBarだったりと変わった場所が多かったのですが、今回は初めてのハコ。そして原作つきでその原作も読了。
これで今までのようにわからなくて「???」ってなることもないだろう…よね?とちょっと一抹の不安も感じつつも開演しました。
えー、どこまで言っていいのかな、原作についてのネタバレがなければいいのかしら。
グラン・ヴァカンスの世界(AIの存在)とダンサーズの躯があたかも実在する「モノ」のように錯覚するところがしばしばありました。
その感覚は結構衝撃でした。ダンスをインストールされているダンサーズ。「ゲスト」を待ち続けるだけのAIたち。
このゲストなき「理想郷」に永遠に朽ちることもなく存在し続けるAIを、ダンサーズの空虚な目が物語っておりました。
演劇でなくダンスなので台詞もほとんどなく、キーワードが点在する程度で。
以前原作を読んだ時の感想を書いたかと思いますが、あの雰囲気をダンスにて表現するのってどうなんだろう?と思っていたのですが、「演劇」でないところがとても良かったような気がしていて。
数値海岸って可視化できない場所かもしれない。そんなふうに思っていて。
だからあくまでも舞台化じゃなくダンス化という手段だったからこそAIが生きて(生きるって言い方変だなぁ)きたように思います。
そして。ジュールとジュリーのシーンは、ジュリーの悲しみ(AIに悲しみがあるのかわからないけど)が舞台に満ちてしまって切なくて切なくて仕方なかったでした。
ああいうシーンを悲しいと感じたのはおそらく初めてだと思います。すごくしなやかで官能的な2人がどうして悲しみに捉われているのかもわからないけど。
グラスアイの美しさは格別でした。
今でも最後のシーンは心に留まっていて。

というわけ一瞬危ないなって思った時もありましたが(あたしの意識がね)、素晴らしい振り付けと演出とダンスに魅了された2時間半でした。
ホント素晴らしかった。
もう一度グラン・ヴァカンス読み直したいと思いました。
あと、もう一度観たいので是非映像化待ってます。待ってます!(念押し)